このレッスンの目的
密脚に悩むお客様は多くいらっしゃいます。また、左右のスキーがバラける事で無駄な動きや、合理的でない動作が発生したりもします。
そして何より、格好悪いという思いを持っているお客様がとても多いです。
大きな必要な要素としては「外足荷重」「内脚抜重(操作」という事がメインになります。ブーツをくっつけてといった事ではありません。
左右別々の動作を両立することで見た目上密脚になるという考え方になります。
対象とレベル
このレッスンは中級1クラスに本格的に参加する前に押さえておきたいテーマです。滑り方は落下系でも回転系でも構いませんが、どちらか決めてスタートした方が良いでしょう。
初級2 中級1
滑走スピードから見た滑りの方向性
Safty 低速
密脚が目的ですので、スピードで誤魔化す事なく、低速での動作確認を重視します。
進め方
密脚は足を揃えるというふうに聞いた方も多いと思いますが、ただ揃えるだけの意識では達成することは難しいです。サブタイトルでもありますように、外足荷重と内足抜重という動作が必要です。
密脚のひとつの条件としてはターン中、常に足元が身体の下にあるポジションで滑ることと、腰幅の中の一本足で滑る意識も大事です。
外足の前は、山足ですが、この山足から方向転換が始まりますので、スキーのテールを開き出すことで、スタンスが開くケースが、まずは多いのではと思います。
開くにしても、山足から外足に身体を乗せて一本足で立っていきましょう。立つことが出来れば外足荷重の8割が完成していると思います。
ウォーミングアップも兼ねて内足抜重の一本足で滑ってみます。~
ウォーミングアップですから、左右にウエイトシフトをするところ、スキーのテールを上げることを強調します。内足抜重と言いましたが、先ずは踏み変え運動が行える基本動作を確認します。
横移動多めで落差は少なめ、外足の時間は一瞬、外足ピボット風で表現して下さい。 なれないバランスですので転送のリスクもあります。雪質や斜度、慎重に選択して下さい。
■斜滑降からスタートします 
■下向きの意識と、外足ピボットという表現で身体の下に足を意識させます。 
■ターンの仕上げまで内足をリフトしています。内足抜重の初歩はリフトでかまいません。
このまま内足抜重の洗練に進んでいきますが、一本目は生徒さんの基礎的な運動や、コブの滑走上で必要な動きや操作が出来ているかの確認をします。
~斜度がきつい時、雪質が悪い時などはハの字を使います~
■斜滑降からスタートします。 
■スキーを開き出します。スキーを開き出すだけではなく、股下の空間の形を二等辺三角形を作るイメージで下向きに方向を変えていきます。 
■同じ二等辺三角形でものっぽな二等辺三角形です。底辺の角が鋭角だと山足に立ちにくくなります。
のっぽな二等辺三角形であれば、山足から外足に立っていくことが可能です。このバランスで谷足の支えを抜けば内足抜重となり、自然の力でターンが始まっていきます。斜面に垂直な山足とも言えると思います。
山足一本に立つバランス。ターン軌道で考えると重心は内側ということになります。この部分が基礎スキー界のニュートラルと近いのではと思いますが、何れにしても、斜面に垂直に真っ直ぐ立って、落下と側方方向の移動をしている状態です。
山足に乗り込み過ぎると、自然の力でターンが始まらず、何か自分で回旋操作が必要になります。この回旋操作を上手くやらないとスタンスが割れる原因にもなります。


左側は山足にバランスをとり谷足をリフトした写真を斜めに加工しています。右側は内側にバランスを崩して、内足抜重をした状態ですがどちらも同じ見えます。
山足にバランスをとった写真は、山足からの谷足の3つの「か」のポジションと似ていますね。
始めは、このバランスの習得で良いと思います。そのあとに、内足抜重をミックスして右の写真のポジションへと導きましょう。
ここが内足抜重の重要ポイントのひとつです。全て生徒さんに説明する必要はありませんが、インストラクターとしては理解して、掻い摘んで伝えていきましょう。
2)展開 密脚に必要なこと
今回はウォーミングアップで内足抜重から導入しましたので内足抜重を掘り下げていきます。
2)-1 ターンの前半の内足抜重と前後バランス
■内脚抜重
・始めは内脚をリフトする状態で前後、左右のバランスを養います。
・慣れてきたら、リフトしている内足のスキートップのアウトエッジ側を雪面にソフトタッチします。
・内足ブーツのソールを外足の足首に見せる様なイメージで、内脚の返しを身につけます。
・リフトしている状態で内足の操作が接雪時の操作に繋がっていきます。
・左右のバランスに意識を取られがちですが、スキーが下に向きを変えていく未来の軌道に前傾をとることも大切です。
・バランスが取れてきたら、リフトしている内足を降ろし同じバランス、同じ内足操作が出来るかを確認します。
・山足にバランスを取るリフト的な運動から、スキー板の1枚分を持ち上げるように、内側にバランスを崩していけるようになる良いと思います。
密脚に必要な内足抜重は、ターンの始まりをスムーズにする為と、ムダなスキー操作でスタンスがバラけるのを防ぐ目的もありますが、外足バランスあっての内足操作です。
大事なのは外足荷重の強化と、横移動の少ないスムーズなウエイトシフト、滑らかに全身でウエイトシフトをする必要があります。
2)-2 ターン前半からの外足荷重と外足バランス
■脇腹の収縮
・外足荷重の強化、内倒防止、高い姿勢でのスライドポジションを身につける事が出来ます。
・左右の脇腹の収縮を交換をすることで、上下と左右のウエイトシフトが可能となります。
・外に傾くイメージよりも上下に動くことで、中に傾きながら外傾姿勢が取れますのでウォールスライドでも有効です。
■ストック束ねて斜滑降でスタート
身体の向きはスキーに正対でスタートします。
■束ねて持ったストックを外側に立てます。
外足荷重ですので斜面下から見てこの姿勢が見えることを確認します。胸は下向きの前傾、目線は外側、ストックも外側に立っているかを確認します。
この形を斜面下のいる人に見せて下さい。斜面横の人に見せる方が多いです。密かに逆ひねりも入りますので、なかなか苦しいです。
上半身で脇腹の収縮が出来れば、今度は下半身の腰あたりを持ち上げるように脇腹を収縮します。下半身の動き方を知らな方がほとんどなので、下半身からの動きは必ず伝えましょう。
この動作を斜滑降で4回ほど行います。
両肩と両股関節の4点を台形にしてくイメージですが、難しい動きなのでなので、台形と言わず四角から三角に変換する勢いがあってもいいと思います。また肘に腰を近づけるイメージや、バイクのハングオン、空手の中段蹴り、健康器具にも似たような動きのものもありますので自分で探すのも面白いです。
その他にも一本足で滑るバランス、外足荷重、前後バランスの強化するドリルは
■シャベリンターン
■外手プッシュ
■指差し確認
■山足から谷足の3つの「か」
■外足から谷足の3つの「か」
■外膝タッチ
などがあります。
2)-3 ターン後半の切り替えが出来る足場と谷足バランス
今回は密脚に必要な外足荷重を内足抜重を練習してきましたが、主にターンの始まり部分です。ここが整うとスタンスのバラケは少なくなると思います。ただ、コブではターンの後半から仕上げの部分で、コブからの力を受け、起伏の変化も起こります。ここでバランスを崩してスタンスが開いてしまう事は多くあるのではと思います。
バランスが整った状態で次のアクションを起こせる事が出来れば、さらに密脚の可能性は高まります。
■外足から谷足の3つの「か」
・外足荷重から谷足荷重の強化
・ターンを仕上げるため滑走中の中にある止まらない停止動作と足場を理解する
・仕上げの谷足バランスを身につける
一番負荷のかかる部分です。コブだとこの負荷に傾斜の変化がプラスされます。
脇腹の収縮です。ここがバンクの壁だとしたら、内側に倒される力が働きます。
身体の前傾はターン進行方向では無く斜面下方向に前傾され足が捻られている状態です。前傾+ひねりの外向傾とい事です。このポジションと足場がない状態で次のアクションをすると必ず上手くいきません。
内足抜重です。脇腹の収縮が反対に変換されています。重心は青い点にあります。前傾はスキーが回り込もうする青の曲線上、未来の軌跡に背中の前傾を強めます。赤の矢印方向です。こに前傾をすることで、ひねり込まれてくるスキーの上に背中の重さと、身体の進行による重さが加わり、外足から谷足への荷重が強固なものとなります。
また、身体の重心はスキー起動の向こう側へ移動していくことになります。
■ホッキーストップ
ホッキーストップも後半の安定した停止ポジションには有効です。停止して安定した谷足バランスがあるかどうかは、3秒くらい微動だにしない状態でキープ出来れば、良いと思います。
その他に仕上げの足場のドリルは
■断続エッジング
■ジャベリンターンの1ターン停止
■指差し確認の1ターン停止
■逆ハンドル
などあります。ポイントはターンを切り上げて仕上げるという事です。その中に止まるわけではない停止姿勢を感じられると思います。
2)-4 その他の密脚へのアプローチ
密脚は単純に足を揃えるだけでなく、いろいろな要素が複合され完成するものだと思います。10合目狙いの回転系から密脚のアプローチ、ズルドンからピボット操作のアプローチ、横移動を抑えて縦の重心移動意識した縦スライドからのアプロー等もあります。
その他のアプローチに必要なドリル
■両足の同調操作
・ツイスト
・前傾ツイスト
・サウザンステップ
・ストックゲートドリル
など
■内足操作
・内足をどかすドリル
・逆ハの字ピボット
・ストックゲートドリル
など
いろいろな、アプローチで入口を広げレッスンを組み立ててください。
3)コブでの実践(回転系 )
ここまで練習が出来ればコブ斜面に入ります。
3)-1 1コブ停止
■初級2クラスも対象ですので、テーマの再現性を高めるために1コブ停止から始めます。
■コブの中でのテーマの洗練度を確認、テーマに集中します。
■コブの傾斜の傾きの理解や、運動、スキーの向きのコントロールも取得します。
■先ずは10合目で停止し、谷足バランス、安定したスピード動き出しからのターン前半に集中します。
横移動でスタートします。
内足抜重の局面です。
上の写真の拡大です。
脇腹の収縮が既に完了しています。重心は青の点にあります。10合目を狙っていますので、青の矢印軌道へ前傾と身体の移動をしていきます。青の矢印の内側進むと溝方向へスキーは進んでいきます。
外足荷重の曲面です。
身体の軸が長いので抜重のように見えますが、脇腹の収縮で身体の内側は抜重、外側は荷重された状態です。脇腹の収縮は身体の中で、上下のウエイトシフトもなされますので、外足荷重の効いた内傾外傾を作ることが出来ます。肩のラインが水平に保たれていますので、赤の矢印の方向への前傾と身体の進行、重心を進める事ができます。
10合目から8合目あたりにぶつかった局面です。
写真は連続していますが、1コブ停止はここで停止をします。重心は壁の上にあります。スキーが進む方向(青矢印)と前傾を強める方向(赤矢印)、はスキーの側方(下方向)にあり、横スライドと同じです。
3)-2 プルークからパラレルへ
■動画はプルークからパラレルですが、のっぽな二等辺三角形の内足抜重で滑りを発展系を表現するのも大切です。
■ゆっくりとした速度で、練習ドリルの整合性の認識と、理解を高めます。
■コブにぶつかって不安定になると動きが遅れますので正確なスライド姿勢、谷足バランスがとても大切になります。
■切替えを出口の通過まで待つことで、切れ上がりのイメージも出来ます。ゆるやかなひねりも身につけていきましょう。
3)-3 コブで連続
■コブでの連続は4コブから6コブくらいでも十分です。
■1本目は1コブ停止を微妙に連続する程度の速度で課題やテーマ、運動表現をわかり易く見せて下さい。
■2本目以降は、少し滑らかに速度を上げても構いませんが、テーマが見える事が重要です。
まとめ
足場作りはコブ滑走に最も大切な基本です。 スキーをしている限りはずっと強化し続けたい大切な事です。 迷ったら戻る場所として、上達するためにずっと強化したい土台としての認識をインストラクターとお客様で常に共有しましょう。