このレッスンの目的
Cとは滑ったあとに残るスライドの軌跡を指しています。
「滑ったあとに残るスライド跡がCを描いたように見える」「スキーがCの軌道をなぞったように見える」のですが、スキーでCを描こうとすると失敗しやすい点が問題になります。
特に、前半が丸いターンのCだと思うと失敗リスクがより高まりますので注意してください。
最初の導入として大切なのは、Cに角をつけるようイメージを持って頂きましょう。カクカクのC。コの字のイメージです。
もう一つは、Cの後半を、視力検査のCのように、後半がクイッと上がて、壁から押し出されたスピードをコントロールする事です。(ひらがなのしの字でも良いです。)
ですので、まず滑走中に必要な動きとしては、横移動と下移動、そして切り上げということになります。
※Cラインではなく、Cスライドだということも忘れないでください。
対象とレベル
横スライドとピボット操作が完成している必要があります。縦スライドも必要ですが、同時に進めていっても大丈夫です。
初級2
滑走スピードから見た滑りの方向性
Elegant 低速〜中速での等速
ゆっくり過ぎないある程度の速度を維持した等速を目指します。1級〜指導員合格に対応するようなイメージとなります。
進め方
進め方の見方
1) 大要素 / このテーマの流れの中の大きな要素
1)-1 小要素 / 大要素を達成するための要素
大要素の大きな流れに沿って、小要素を行っていきます。小要素は流れのあるものは通して行う必要がありますが、飛ばしたり、その日の状況によって一部を抜き出して利用しても構いません。また、2日連続で同じテーマに同じお客様が参加された場合などは小要素を変えて対応することが可能になります。
このテーマの大きな流れ
1) Cスライドのコの字解説
2) Cスライドの初歩「コの字」で横移動+横スライド
3) Cスライドに必要なこと
4) Cスライドの発展 スピードと軌道のコントロール
5) コブでの実践
1) Cスライドのコの字解説
この部分はインストラクターが理解して、自分の言葉で、説明が必要な時に必要な部分を噛み砕いて伝えて下さい。

▲上の図はCスライドのイメージ図です。
赤のスキーはC軌道の横スライドです。
整地でこのような動きにはなりませんが、壁のデラがけのような軌跡です。
青のスキーはC軌道の縦スライドです。
ここで一つ注目してほしいのは、赤のスキーも、青のスキーも軌道の真ん中にはブーツ=自分がいると言うことです。
初級クラスは「身体の下に足」でレッスンを展開していますが、特に前半部分はブーツより身体がターン内側に入ると回転が誘発されます。
ターン後半では谷側が次の内側になりますので、ターン前半で丸みを出すイメージは溝に向かい破綻リスクが高まります。
第1コーナーを直角に曲がる意識と外足に真っ直ぐ立つ、ウエイトシフトやサウザンステップなどで意識付けをします。

上の図は見えない力を表しています。横への移動ベクトルがY、自然落下方向へのベクトルがXと過程したイメージ図です。(※物理的な解説ではありませんのでご注意ください。)
この2つの合力の方向に地点Zがあるとすると、地点Zへ到達するにはY要素とX要素を合成するようなイメージとなります。
人間は単純な物体ではありませんし、意思もありますので、図式で解決できるものではありませんが、こういった基準を作ることで、動く方向が明確になり「もっとX方向に身体を移動しましょう」といったアドバイスが有効になってきます。
ターン前半の横のベクトルは、ウエイトシフトと、方向を変える前のスキーの進行する力です。(コブに押し出される力も使えれば良いです。)
横方向への雪面抵抗のかけ過ぎや角付け過多、内倒などで、横方向への移動を自ら止めることでミスに繋がるケースが殆どです。
また、ターン後半は、整地なら速度が落ちますが、コブではスキーが向いていく方向に沿って溝や、バンクがあります。ここでの減速は、その力の向きに対して横方向に、力を働かせることが必要となります。これがターン後半から仕上げの部分です。
コブが押し出す力は、自分の処理能力の範囲を超えないこと、第2コーナーの抜け出し方が非常に大事になってきます。
2) Cスライドの初歩「コの字」で横移動+横スライド
横移動からスタートをします。
横向きに前傾姿勢をとり、やや低めのポジションでスタートをします。
▼切替し

ストックをついて抜重で立ち上がります。コの字の第1コーナーを直角に曲がって直滑降で落下を始めます。ボヤッと切り替えさない様に、一瞬でスパッと切り替えて、直滑降を見せて下さい。この部分は、のちほど踏み変えも使用します。
▼横スライド開始

スキーのトップを大きく動かし、直滑降から横スライドに入りました。この時大事なのは落下方向です。前の写真を見ると解りますが、麓にあるホテルの方向に真っ直ぐに落下しています。コの字の軌跡の内側に移動してしまうのはNGです。コブだと内壁に当たるか、出口に進みます。外に膨らむくらいで良いと思います。
▼横スライド

雪質や斜面状況にもよりますが、真っ直ぐ真下への横スライドを強調して下さい。そのくらい強調しても、Cの後半は緩やかな横移動になると思います。また、スキーに抵抗が増える局面ですので下移動を強める事が必要です。
ひねりが出来ている方は前傾を維持して落下を継続します。回転が強い方は、指差し確認や、ハンズオンにーで外向傾姿勢の練習をしてみてください。
▼停止しそうで停止しない状態からの横移動開始
コの字の第二コーナーです。下に移動する力がだんだん弱くなる局面です。下移動による谷足荷重で出来た足場を確認してから横移動を始めます。初級1では止まっていた場所です。この局面ではストックをつかず、構えたまま横移動をします。Cの後半「くぃっ」と上がった部分作るところですので、ストックをつかない事もポイントになります。横スライドからぎりぎり横移動ができる分のスピードを残す事もとても重要です。
▼横移動開始
コの字の第1コーナーに向かって横移動します。加速気味に演技してもらっても良いと思います。この局面はコブに押し出されるところです。押し出されるのも利用して次の横移動に繋げます。この加速を自分のものに出来るか出来ないかは、いかに前の第2コーナーを角張らせられるかにかかっています。初歩段階では第2コーナーで角が無いと発射します。
▼ストックをついて直滑降に入ります。

▼横スライドの開始
前の写真と落下位置は変わっていません。真下への落下です。
▼横スライド
ウォールに張り付くウォールスライドの練習にも繋がります。
▼第2コーナー
止まるか止まらないかくらいの下移動を強調してから次の横移動へと繋げること。
3) Cスライドに必要なこと
Cスライドに必要なのは、ターン前半の側方方向へのウエイトシフトと、ターン後半の下方向移動からの進行方向(横方向)スピードコントロールということになります。下方向へのスライドはズルドンと同じですので、今紹介しているズルドン脱却パターンは、ズルドンに横移動を加えてあるだけということになります。
3)-1 Cスライド前半
ウエイトシフト(踏み変え)
切替しの第1コーナーを想定しウエイトシフト用います。
ハの字を使うのは、ハの字でスキーを回旋する為ではありません。開き出したスキーの向きを素早く下に向けることと、踏み変えを習得するためです。
連続するとシュテムターンのようにも見えますが、開く目的は、ターン前半の丸み出すものではありませんので、開いたスキーに一本足で立つイメージが良いと思います。
また、開き方も、テールを大きく動かすのでは無くて、自分の身体の近くでスキーの向きを変えるようにします。

▲停止状態でやっていますので、谷スキーの上に交差していますが、谷スキーの下に潜り込ませるようなイメージです。ジャベリンターンや、ハの字の半制動のドリルと共通します。

テールを大きく動かす意識が強すぎて、身体から足が離れ過ぎています。また姿勢が低いままで遠くに開いたのでスキーの角が立ちすぎてしまい、前半の横移動を自ら止めています。コブでは動けず溝に吸い込まれるのを待つだけになります。抜重しながらスキーの向きを変えると良くなるケースがあります。ウエイトシフト、リードチェンジ、サウザンステップの運動系ドリルが有効です。

前のスライドポジションから抜け出せなくて、足を遠くに山側に開き出してしまっています。このままの姿勢だと段々溝に向かって加速を待つだけになります。ここから、開いた山足に立つウエイシフトが出来れば良いですが、足が遠くてしんどそうです。加速する前に山足に立てれば良いですね。脇腹の収縮、外手プッシュ、外膝タッチ、山足ピボットなどの外足荷重系ドリルが有効です。

開いたスキーに傾いて横移動が止まっています。また、スキーに傾いた結果、スキーに荷重されていますので、スキーが横スライドをしずらい状態です。(前のターン後半からの横移動の慣性にもよる)コブでは溝に吸い込まれやすくなります。
開いたスキーに移動して形を作った所でイメージが終わっているためか?運動が止まってしまっています。ウエイトを乗せて終わりではなく、ウエイトがまだ側方へ進み続ける必要があります。抜重を使ってラテラルムーブメントのウエイトシフト、外手プッシュなどで良くなると思います。

▲お手本です。右の山から外足の一本に立っていける足の位置です。今回は横移動を使っていますので、谷スキーのトップ方向に動き出しながら抜重して、おヘソの前に山足のつま先を向けてくるイメージでも良いと思います。

▲ストックをついて山足のスキーを谷に向けるシーンです。この状態の身体のバランスで横移動ができると良いですね。斜滑降しながら、この姿勢に動き出そうと思ってもOKです。

▲上の写真はウエイトシフトの切替し前です。身体は落下方向に向いています。Cスライドだとコブの押し出す力と戦い終わって横移動に変換するシーンです。

▲切替し中です。Cスライドだと出口を抜けて、身体の真正面に溝の凹みが見えてくる状態です。溝の景色を横に通過させて10合目の上空まで意識を飛ばします。

▲外足が着地しました。溝を真正面に見ながら右に横移動をしてきたところです。直滑降の姿勢ですが、前の横移動の慣性が働きますので、すぐに直滑降にはなりません。目線はC軌道のやや外側に向いてます。身体の真正面にはコブの5合目から10合目あたりが視野に入っている状態です。このあたりまでが、Cスライドの前半、横移動のベクトルを働かせるところです。

▲スライドポジショに入りました。ここでも目線はC軌道のやや外側です。横移動のベクトルが弱まって落下が強くなってくるシーンです。

▲上の写真から時間が経過していますが、ほぼ同じ形のスライドポジションです。この辺りで横移動は無くなりますので、身体の向いている方向に前傾を強め落下を続けて、スキーの向きは変え続けていきます。
コの字の第二コーナーに向かうシーンですが、スキーのトップ方向に目線や身体の向きが流れると加速が始まります。この加速が許容範囲ならOK。でなければ発射が待っています。
3)-2 Cスライド後半
Cスライド後半は下方向への重心移動。身体の重さの進行が必要です。
▼ハンズオンニー
・前半の横移動の力が無くなってくるあたりからの動きを習得します。
・傾き、身体の重さの進行による外足から谷足荷重の強化を習得します。
・Cスライドの後半に、よりひねりを利かすことで、前傾+ひねりの前傾外向姿勢を身につけます。
このハンズオンニーの動きを、Cスライド後半に利用することでコブからの押し出される力と対抗することができます。
▼外手プッシュ
・外手プッシュはCスライド前半の側方移動の目印にもなります。
・外手の向きにウエイトシフトをし続けること、目線を残すこと、外腕の巻き込みを防止する効果があります。
・外手のプッシュのままストックを握ればストックワークにも繋がります。
・コブ滑走中でもイメージをしやすいので、回転系でひねりが弱い方でもCスラの後半に粘ることができます。
3)-3 Cスライド仕上げ
スライド後半はターン終了ではありません。後半です。Cのクイッと上がっている部分が仕上げになります。仕上げですから正確なストップ姿勢が必要です。

Cスライドの後半、真横にスキーが横移動しているように見えますが、この横移動で、身体の向きと目線がスキーと一緒に進んでしまうと、切替しに時間がかかり、身体の回転でスキーの向きを変えるしかなくなります。
ここまで、その部分は、シュテム操作を使っていましたが、Cスライドの本来の姿ではありません。しっかりターンを仕上げていきます。
この部分では、
・ブーツよりスキートップが山側、斜面上にある。
・テールはブーツよりも谷側、斜面下にある。
・自分の身体は、ブーツよりも谷側、斜面下にある感覚
▼逆ハンドル
回転系の滑りに、逆ひねりはあまり見られませんが、切り返す直前に逆ハンドルをすれば、回転系でも素早く切り替えが完了します。出口を抜けてからでも、まだ次のコブに間にあいます。

上の図は、3つのCスライドの軌跡と、逆ハンドルの場所を示しています。軌跡が折れた場所が第1コーナーです。
内側の青のスキーはボトムスライドの軌跡です。赤のスキーは壁の高い位置の尾根付近をスライドした軌跡です。
外側の青のスキーは切り替えしを出口を過ぎた10合目の上空くらいまで横に引っ張っています。
出口は一つですが、入口は複数ありますということが理解できればお客様も少し余裕がでると思います。
お客様がCスライドで失敗する時、コブにぶつかって「はい次!」と思うタイミングは、赤のスキーの1つ目(一番左上の赤)の位置ではないでしょうか?そこはまだ中盤、横移動をあと1秒するイメージです。

▲上の写真は逆ハンドルの直前です。

▲逆ハンドルが入りました。
スキートップが斜面上、テールが斜面下、進行方向に対してスキーの角度が深まりましたので、スキーは一瞬止まろうとしますが、身体の重さが、そのままの進行をしていけば、ターンの内側に一瞬だけ入ったと感じます。
写真の林の方向にコブラインがあると思うと、右コブにぶつかったシーンに見えます。10合目に到達したときに、この形に近い形が整っていれば、いつでも切り替えせるという事も言えます。
3)-4 このボジションを習得するドリル
▼ホッキーストップ
▼急停止
などがあります。
ここでも、真っ直ぐ滑る、曲がる、止まるの止まるが大事なことを再認識します。連続は停止があって始めて連続可能となります。
4) Cスライドの発展 スピードと軌道のコントロール
4)-1 スピードコントロールする場所
Cスライドには第1コーナーの切り替えからのターン前半、第2コーナーのターン後半、ターンの仕上げと、1ターン中に3個所もスピードコントロールの関所があることが理解できたと思います。
Cスライド初歩は10合目の高い場所を狙いましたので、スキーを横に向けられる場所もありましたが、コブの8合目や5合目等のコブラインの中心側に狙いを変えていくと、スキーを横に向けられる場所は少なくなります。
特に第2二コーナーでは角をつけても、コブの形状や溝の向き、雪質や通過する場所によって思うような減速が難しくなる場合もありますので、第1コーナーでスピードコントロールをする必要があります。(第2コーナの減速方法は、落下系縦スライドの習得が必要)
また、Cスライドで外よりから中よりに狙いを変えると完全に停止を出来るところは出口を抜けた場所のみとなる事も理解していてください。

▲出口を抜けて停止したところです。赤丸の周辺が出口を抜けてスキーを横向けに停止が出来るところです。

▲写真は第1コーナー、切り返しからターン前半のスライド中です。
・赤の線は基本のコの字の軌跡です。
・青点はスライド幅で、前半は分厚く後半は先細りになっています。ここで速度が許容範囲を超えると破綻に進みます。
・コブに押し出された方向の横向きベクトルを基準に考えると、スキーは真下を向きますが横スライドに移行した状態と同じです。
・スキーが斜面真下に向いても、押し出された慣性が働いているので直ぐに直滑降へ滑り出すことはありません。
・この場所で、コブからもらった横の慣性をスライドの力に利用することが出来れば、コブの押し出しを利用したドリフト的なスライドで弧を描くことができる。
横移動からテール大きく動かす扇を開くようなスライドで弧を描くことが出来る。(小林さん動画・ターンの素「斜滑降〜停止」も参照)
ストックゲートドリルなどでのピボット要素のスライドで弧を描くことができます。
このように、横スライドであっても方向を変えながら落下していますので、軌跡はC前半の弧を描いたように見えます。
またC後半は壁の傾斜が効いてきますので、下方向への落下続けていてもコブが弧を描いたように見せてくれます。
▲赤矢印は基本のコの字の軌跡です。写真の位置で横移動が許容範囲になってきたら第1コーナーの角を削ります。
丸く削るのではなく角を落とすだけのイメージで良いです。初めは少しずつ角を落としていきましょう。
だんだんXYの合力方向(イメージ)のZ方向へ意識をします。Z地点にダイレクトに進むとコの字がジグザグに変化をしていきます。(ボトムスライド)
第2コーナーはコブの形状で自然にコブが丸くしてくれますので、自分から強調すると破綻リスクが増えます。

▲仕上げの局面です。スキーの回旋角度は、溝の角度より深くなっています。(超重要)
写真は既に再始動可能な状態です。スライド跡からも第2コーナーに角をつけたこともわかります。この位置で仕上げが整えば、余裕を持っていろんなラインどりを選択することが出来ます。
写真の位置からはコブ裏スライド。コブ裏~ボトムスライド。壁の高い場所を目指せばDスライドへの道のりが見えてきます。
赤丸の位置からはボトムスライド。壁に少しでも乗り上げればウォールスライドにもなります。
赤丸の位置を過ぎてからは8合目~10合目のバンクスライドがメインになります。(初歩の部分)
ここまでを整理をすると
・Cスライドの軌道には角をつけること。コの字の軌道から徐々に第1コーナーの角を落とす。
・ターンを仕上げる、切り上げる。軌道でのスピードコントロールが必要。(上田シリーズ逆ひねり強化も参照)
・コブの状況によっては後半(第2コーナー)の減速は難しくなる場合がある。
・ターンの前半のスピードコントロールがより重要となる。
・上記を踏まえると仕上げのスピードコントロールがより重要となる。
と言えます。
4)-2 軌道のコントロール

Cスライドには横移動があること、溝の外側を通ることが多くなりますので、スキートップの軌道をコントロールして、スキーの向きを調整する必要があります。
上の写真は横に通り抜けやすい場所(赤丸印)を通過しようとしています。
この位置が、上にズレると内壁に衝突しミスに繋がりますので、通り抜けポイントにトップを合わせてスキーの向き、回旋を調整することが必要となります。
出口の通過の向きから、次の出口の通過の向きまで、C軌道の周期に、スキーの回旋の周期を合わせることでも、弧を描いたように見えてきます。
また、青の実線は溝のラインですが、スキートップは溝のラインに沿うようにスライドしていることもわかります。トップが溝のラインを超えてしまうと、スライドが難しくなりミスに繋がります。
Cスライドはスキートップの軌道をコントロールする。回旋の向きと量、回旋スピードやタイミングをコントロールする。コブの横幅と縦幅に合わせた軌道のコントロールが必要となります。
この通り抜けポイントにスキーの向きが合わせることが出来ると、スキーを横に向けすぎない、トップが下テールが上のC軌道版、縦スライドが身についたことになります。
4)-3 回旋量とトップコントロールの方法
スキー回旋の向きと、トップのコントロールの仕方は大きく分けると2つあると思います。
スキーのトップを支点に使って向きやスライドを制御する方法。テールを支点に使って向きやスライドの制動する方法です。もちろんこの両極の間にも無数の作り方があります。
トップのコントロールを使ったスライドの練習ドリルはハの字の半制動やジャベリンターンなどがあります。
コブの溝を滑った場合でも、必ずスキートップは、コブを一番速く抜け出しますので、トップがコントロールできるとコブの中で、かなりの余裕が生まれます。

▲上の写真はハの字で半制動です。トップを内側にひねる前の姿勢です。

▲トップを内側に捻った状態です。
テールを動かして作るのに比べてトップを動かす方が、荷重が乗り易く腰幅の中でのスキー操作が出来るメリットがあります。 スキーのトップをコントロールすることで、スキーの向きの回旋量、回旋スピードのコントロールも容易に出来るようなります。
4)-4 Cスライドの洗練 弧の作り方
CスライドのCはカービングターンの軌道と同じですが、角付けやサイドカーブを使ったカービングではなく、スキーの面を多用してカービング軌道をつくるCのスライドラインとも言えます。

赤のスキーはC軌道に常に真横を向いていますので、スライド跡はスキーの長さ分のスライド幅がつくことになります。
青のスキーはC軌道に30度前後の角度を保っていますので、赤のスキーより幅の狭いスライド跡が残るはずです。
整地での練習は、同じズレ幅の狭いスライド跡を残すようにして、弧を描く練習となります。
C前半は逆ハの字ピボット、後半から仕上げは内足をどかすドリル
Cをイメージをすると重心は軌道の中と考えがちになりますが、初めは重心は山足→外足→谷足→切り上げの足になるまで足の真上から外に動かすようにします。重心移動の目印はおヘソです。おヘソを山足から最後まで腿にくっつけてドリルを行います。 切り上げまで重心を外に出すことが出来れば、次のターンでは、重心はターン軌道の内側になります。
そもそも内、外ではなく下方向、横方向と考えるようにします。下と横はコの字、下と横の合力はジグザグです。

▲逆ハの字ピボットの姿勢
・上半身は直滑降姿勢です。左右の傾きはありません。目線は下、前傾は山足バランスを保てる程度にとどめます。
・おヘソは山足の腿や、山足の股関節へ寄せていきます。前後差を入れ替える意識をすると良いです。
・谷ストックを支えにして、山ストックはスキートップの方向(側方=自分が移動したい方向)に指します。
・山ストックのシャフト線が、横と下の合力方向と仮定して、シャフト線に沿って全ての重心を移動します。
・この姿勢は、山足~谷足の3つの「か」、山足ピボット、内足抜重などで強化が出来ます。

▲後方の写真
ストックをついて内足のスキートップを開いた曲面です。まだ、ストックは構えられていません。
・赤矢印は初歩のコの字軌道。内足がどいて重心が進めるスペースが出来ましたので、青矢印の方向へ重心移動をします。
・この局面を山足からみると重心は軌道の内側となりますが、内足からみると軌道の外側となります。
・この外側の方向に前傾をする。身体の重さを進行していくことになります。
・逆ハの字ピボットの操作や運動を覚えたらクローズスタンスに戻して斜行に抜け出すまでの練習してみましょう。

▲Cスライド後半「内足をどかすドリル」
・内足をどかしながらスライドをしていきます。
・写真のアングルだと外足ですが、写真左側に斜面下方向があるとすれば、谷足から切れ上がりの局面です。
・赤線は外(谷)スキーと、内(山)スキーのスタンスを表しています。
・スタンスの角度はおよそ30度くらいのV字です。内スキーから見れば外スキーは30度外に開いていることになります。
・内スキーに外スキーの角度を合わせば、C軌道の進行方向に対して30度ほどの角度がついていることになります。
・青点はスライド跡(幅)、黄点はブーツの軌道(Ç軌道)です。進行に対して外向30度の意識がとても重要となります。

▲前からの写真です。写真のアングルだとC後半のコブから力を一番受ける局面となります。
・写真右側に斜面下方向があるとすると出口を抜けて切れ上がりの局面です。
・写真左側に斜面下方向があるとすると山足から外足のC前半ということになります。
・写真をよく見るとスキーに対して身体のパーツはいろんな方向に向いていると考えることもできます。
・大きく分けると骨盤の向き、胸の向き、顔の向き、目線の向きになると思います。
・フォールラインに真っ直ぐ直滑降なら全て同じ方向と理解は出来ますが、それ以外はとても複雑で説明が出来ません。
・そこでおヘソをひとつの基準として考えます。おヘソは重心に近いとも言われる身体の中心部です。
・おへそが常に進行させたい方向に向いて進んでいる。という基準を設けます。
・迎え角や、外向などのスキー用語もありますが、おヘソに対して、つま先が30度前後、左右に動くと考えるとシンプルです。
▼以下の4枚の写真は上の写真と同じとも言えます。

おヘソに対してスキーの角度がつているかどうか。シンプルに考えると振り幅60度のプロペラ的な動きをしているだけとも言えます。 滑りながら、60度振り幅を自在に操ることがC軌道の弧を描く縦スライドの大事な要素になります。
4)-5 ラインどりではなくポイント打ち

ズルドン脱却に向けてライン取りの話題も出てくるかと思いますが、まずはブーツがどこに向かって落ちていくのかという考えをします。
ラインどりというとスキーの通り道のイメージが強くなります。 中級まではスライドが基本となりますので、スキーの向きは問いません。狙った場所にブーツからぶつかりにいける安定した環境整備が大事です。
安定した環境整備とはスピードコントロール・足場・姿勢のことです。いつでも再始動が可能な状態でこのポイント打ちの景色を横に見ながら10合目の上空まで横移動していければ良いですね。
ブーツから入れる。トップを一瞬狙い目に向けて入れる、縦スライドで入るなど、徐々に点から線へとレベルアップしていきます。
5) コブでの実践
ここまで整地の練習が出来てもできなくてもコブに入る必要がありますので、実際のレッスンでは、やることをかなり絞らなくてはタイムオーバーとなりますので気をつけてください。特にコブに入ったら、整地の2倍時間がかかると思っていてください。
5)-1 1コブ停止
▼横移動でスタート

下向きの切り替え、レベルよって、シュテムでなくてももちろんOKです。

10合目の上空です。逆ハンドルの最終ポイントで、出口の通過後に止まれるもうひとつの場所です。
この後は、スキー板の向きに関係なく身体の重さを真っ直ぐに落下させていきます。落下の意識がとても大切です。

下への横スライドです。ここまで山足→外足→谷足がCスライドの軌跡を通過しています。

10合目で停止します。

※壁から押し出された想定で「出口を抜けて切り上げて停止」なども適宜盛り込んでください。また10合目停止だけではなく壁の中での停止(デラがけ)などもステップアップとして必要になります。
4)-2 プルークからパラレルに移行
この動画はシュテムの前のプルークからになりますが、発展系を表現するのも大切です。プルークの外足がCスライドの軌跡を通過しています。滑走は壁の尾根部分でも、溝に近くても構いませんが、出口で速度が許容範囲を超えていない事が大切です。出口をブーツが通過、内壁に干渉しないところで抜け出せていることも大切です。
4)-2 コブで連続
コブでの連続は4コブから6コブくらいから少しずつ滑走距離を伸ばしていってください。 1本目は1コブ停止を微妙に連続する程度の速度で課題やテーマ、運動表現をわかり易く見せて下さい。 その後は、滑らかに速度を上げても構いませんが、テーマが見える事が重要です。お客様の技術レベルを見ながら安全第一で進めましょう。
まとめ
この事例はCスライドの一例となります。壁の低い位置でCスライドができる事や横移動の量を調整できる事で、滑りの幅は広がります。また、先に縦スライドを覚えて、ボトムスライドのようなジグザク移動に変化させて行くことも「脱ズルドン」の見せ方としては有効となります。
このテーマレッスンの参考動画
▼上田シリーズ逆ひねり(切り上げからの切替し)
▼動画マニュアル6(逆ハンドル他、コブ滑りは大部分Cスラ)
▼小林さん(斜滑降〜停止でCスライドにもっていくことも可)
▼しげさんCライン(Cラインとなっていますが、実際はCスライドです)