
GP中級1:ウォールスライド
担当:清水太志
本日はコブを最も立体的に、そしてエレガントに攻略するテクニック「ウォールスライド」をテーマにトレーニングを行いました。
「横スライド」と「ピボット操作」と「縦スライド」の技術が、このウォールスライドで一つに繋がります。今日お伝えした「壁を使いこなす」ための核心を振り返りましょう。
【コブの「壁」を味方にする技術】
多くのスキーヤーがコブを滑る場合、溝に落ちてしまってズラせずに荷重、加速して暴走したり、ボトムで衝撃をもらってバランスを崩され苦しみます。それに対し、ウォールスライドはコブの「壁(溝の向こう側の斜面)」の高い位置を削りながら、斜め前へ等速で安全に進む技術です。
* ◯ズルドンとの違い: 横を向いて溝のボトムへコブ裏を横スライドで落ちていくのがズルドンなら、溝に落ちないで壁側の斜面を縦スライドでスピードを制御しながら出口を目指すのがウォールスライドです。
* ◯メリット: ボトムでの衝撃を回避できるだけでなく、高い位置(10合目)から次のターンへ入れるため、余裕を持ったライン取りが可能になり等速で安定して滑れます。縦溝コブで溝で荷重してリズムが速くなり暴走する事を防げます。
【土台となるピボットと構え】
ウォールスライドを成功させるためには、壁の高い位置手前で素早くスキーの向きを変える「ピボット操作」が不可欠です。ここで、整地で確認した最強の構え「マイク&ゲッツ!」が真価を発揮します。
* ◯切り替え(ピボット): 脚の曲げ伸ばしでの伸身抜重や頭の高さを変えない「うーピボット」などの屈伸抜重を使ってエッジを解放。身体の重さを次の谷側へ投げ出しながら、スキーをクルリと壁の向きへ合わせます。
* ◯タイミング:ストックを突くとピボット開始です。早く突いてしまうとコブ裏へ出てしまいます。コブの頭やモサモサの所ではなくボトムを通り過ぎた出口で突きましょう。つまり通常よりタイミングは遅くなります。横移動(縦スライドでの斜め移動)するので慣れるまでかなり我慢が必要です。ストックは「突く」から「置く」に意識を変えると脚の曲げ伸ばし運動がスムーズになりタイミングも取りやすくなります。
* ◯構えのセット: 向きが変わった瞬間に、次の谷手のストックを進行方向(壁の先)へ向け「マイク」をセット。リングを置いたばかりの山手(向きが変わる直前までは谷手)は「レバーオン!」&「ゲッツ!」させて肩を前に出して安定させ、強力な前傾外向を作ります。 この「切り替わったら即・マイク&ゲッツ!」という準備の早さが、不安定な壁の上でバランスを保つ生命線となります。
【縦スライドの応用:壁を「斜め前」に削り進む】
壁に張り付いた後、スピードを制御しながら出口へ向かって進まなければなりません。ここで使うのが「縦スライド」の技術です。
* ◯45度のキープ: フォールラインに対してスキーを45度以下の「縦」に保ちます。壁に対してスキーを横(90度)にしすぎると、壁に弾き飛ばされて溝に転落してしまいます。(スキーが横に向いて溝に落ちると「ボヨヨ〜ン」になります)
* ◯弱ブレーキで進む: スキーの「面」を壁に押し当て、雪を削りながら「斜め前」に滑り降ります。この時、足首にしっかりと重さを乗せ、壁の傾斜に対して横方向(斜め前)へのウエイトシフトが、縦スライドのエンジンとなります。
【ウォールスライドの核心:谷回りのマネジメント】
ウォールスライドにおいて、最も重要なのは「谷回りの時間」です。
* ◯溝に落ちない勇気: 切り替え直後、すぐにボトムへ逃げたくなる気持ちをグッと堪えます。スキーを縦に向けたまま、壁の高いところを「斜め前」にスライドさせていく時間を長く取ります。成功させるコツはストックを置く位置とタイミングにあります。出口を少し過ぎた平らな所(凸の場合もあり)でピボット操作が必要です。故にその場所で前傾外向姿勢(マイク&ゲッツ!)が出来ていれば、ストックを置く位置とタイミングを迷うことは無くなるはずです。脱力して脚が曲がって小さくなった結果ストックリングが接雪してから切り替え操作が行われれば、自然に吸い込まれるようにウォールへ誘われるでしょう。
* ◯トップコントロール: スキートップを溝のラインに沿わせるように内側へひねり込み(半制動の動き)、トップから壁に潜り込ませるようにスライドさせます。これにより、加速を抑えながらも「進み続ける」エレガントなスライド軌道が生まれます。ここでテールを押し出すような意識は持たないでください。テールスライドやドリフトの意識感覚は後傾や姿勢を崩す原因です。トップエッジが効いているスライドが縦スライドの核心です。トップ軌道での板のアングル変化の過程でテールもスライドして行くだけの話です。決してテールのみを動かす訳では無いので勘違いしてはいけません。しかし、トップシーズンの新雪や春のグサモサ雪などの雪質によっては意識する場所も違って良い場合がありますが、必ずリカバリー動作が必要となります。状況に合わせたコントロールをしましょう。
【具体的なイメージ:コブの「出口」を狙い打つ】
ウォールスライドは「ライン」で考えるよりも、「壁のどこを、どの向きで通過するか」というポイント打ちで考えると成功しやすくなります。
* ◯ターゲット: 次のコブの壁の始まり(10合目付近)を目標にします。ゲッツ!で前に出している腕の肩を斜め下へ傾けていきながらマイクにして行く意識です。内向から外向へ荷重回旋して行く事になります。ピボットから次の谷足へ重さが乗った状態で早い段階から縦スライドとなり総合的な安定度が増大します。
【ステップアップへのアドバイス】
本日の練習で「壁から落ちてしまう」「溝に吸い込まれる」と感じた瞬間があったかもしれません。それは、①縦スライドの角度が深すぎる(横を向きすぎている)か、②ストックを置くタイミングが早すぎてコブ裏へ出てしまっているか、③前傾外向姿勢「マイク&ゲッツ」のセットが遅くてボトムへ落ちてしまっているか、大概、この3つの原因であることがほとんどです。(後傾でスキーに置いて行かれている場合を除く)
壁の中は斜めになっています。そこに立つには、平地よりもさらに強い「前傾」と「横への重心移動」が求められます。
ウォールスライドができるようになると、滑りの視界が劇的に変わります。溝しか見えていなかった世界から、立体的なコブの「山」全体(谷全体とも言える)を使いこなす世界へ踏み込めます。本日掴んだ「壁を削る感触」は、上級者への確かな一歩です。
鷲ヶ岳のコブを、ただ耐える場所ではなく優雅に舞うステージへ!皆様の滑りがさらに「高く」「エレガント」に進化するのを、これからも全力でサポートさせていただきます!本日は本当にありがとうございました。
さて、本日のレッスンで、コブの壁に「マイク」を向けて、縦スライドで斜め前に進めた瞬間、雪面の抵抗が「心地よい安定感」に変わった感覚はありましたか?
その瞬間の「壁を捉えた足裏の感覚」を言葉にしてみると次回の滑りで再現しやすくなるかもしれませんよ!
また、コブを立体的に滑りたい方のご予約もお待ちしております♪
清水
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