ターンを「終わらせるため」に止まるのではない!次のターンを「始めるため」の足場を作っているのです!2026/3/22鷲ヶ岳コブレッスンレポート

GP初級2:脱ズルドンCスライド
担当:清水太志

 本日は「Cスライド」をテーマに、もう一つの重要な視点―「雪面との対話と、エネルギーのマネジメント」という切り口からお伝えしました。
なぜ同じ斜面でも、ある時はスムーズに滑れ、ある時は弾飛ばされてしまうのか。その答えは「力」ではなく「軌道とタイミング」にあると考えられます。
もう一段深い「Cスライドの本質」に迫りましょう。

【ズルドンとCスライドを分ける境界線】
 多くの方が卒業したいと悩む「ズルドン(横を向いて落ちて止まる滑り)」は、実は落下エネルギーを「捨てている」滑りとも言えます。一方で、「Cスライド」は、落下エネルギーを「次のターンへ変換する」滑りと言えるのではないでしょうか?
 ズルドンは、コブのボトムまでドスンと落ち、衝撃を受け止める受動的な運動になりがちです。しかしCスライドは、コブの出口で発生する「横に放り出される力」を、次のターンへの「推進力」へと変換します。
・ 視点の転換: コブを「障害物」として見るのではなく、「次のターンへ運ぶ発射台」として捉え直すことが、脱ズルドンのメンタル的な第一歩だと思います。コブラインからの発射はダメですよ!(笑)

【コの字が教えてくれる空間の使い方】(設計図)
 「カクカクのC(コの字)」を強調したのは、コブの中での「横移動のデッドスペース」を活用するためです。
コブの溝を荷重して滑ると加速して制御不能になりがちです。しかし、Cスライドの「コの字」の横棒の部分(第1コーナー)、つまりボトムを抜けた後の「横移動」を意識的に長く取って切替(ピボット)を行うことで、次のターンに入るための「時間」と「空間」を自ら作り出すことができます。余裕を持って次のコブへ落下する事が可能となり、第2コーナーまで安定したスライド(ブレーキ)が出来ます。

【ウエイトシフト(山足への乗り換え)】
 大切なのは次の谷足になる「外足」にスパッと一本足で立てるように重心を移動し続けることです。ここで運動を止めず、横のベクトルを維持したままスライドに入ることが、安定した弧の始まりとなります。両足同調操作をする事でパラレルスタンスや密脚となりますが、厳密には山足ピボットで運動しています。

▼山足ピボット

【空間の演出】
 ボトムに落ちてすぐ「はい次!」と焦る気持ちを抑え、あえて10合目(コブの出口の先)の何もない空間にスキーを滑り込ませる。この「溜め」があるからこそ、ゆとりを持って第1コーナーを直角に曲がる意識が芽生えると思います。(切り上げ、逆ハンドルの場所)

【ベクトルの合成:X方向とY方向の調和】(マネージメント)
 レッスンで解説した「X方向(落下)」と「Y方向(横移動)」のイメージを思い出してください。 身体を物理的な物体とした時、自分の意識をどちらのベクトルに強く向けるかで、滑りの性格がガラリと変わります。
・Cスライド前半(Y重視): 切り替えからスライドしていく入り口では、強烈な「前と横(斜め前)へのウエイトシフト」が必要です。ここで落下(X)を意識しすぎると、直線的な衝突と制動がない空白時間となり溝に落ちてしまいます。Y方向重視での縦スライドで加速を制御する必要があります。
・Cスライド後半(X重視): ターンの中盤から後半にかけては、前傾外傾をキープして逆に「下(フォールライン)」への重心移動を強めます。スキーのテールが溝の壁に乗り上げてスピードコントロールした後のボトムから出口にかけては、力まずに「いなす」ことで落下エネルギーを活かしましょう。この「横から下へ」というエネルギーのバランスをスムーズに入れ替えることが、洗練されたC軌道を生む秘訣です。

【逆ハンドルは次のターンの入口】
 Cスライドの仕上げで行う「逆ハンドル(逆ひねり)」の姿勢。これは単なる停止動作ではありません。 この姿勢を解剖すると、「下半身は最大限にひねられ、上半身はすでに次の谷を向いている」という、いわば「引き絞られた弓」のような状態です。
 この仕上げのポイントで一瞬でも正確なポジションが整えば、あとはその「ひねり」を解放するだけで、スキーは自動的に次のターンの第1コーナーへと吸い込まれていきます。

ターンを「終わらせる」ために止まるのではなく、次のターンを始めるために、最高の足場と姿勢で仕上げてください。

【なぜ「発射」するのか?】
 レッスン中、加速して「発射」しそうになった場面がありましたね。その時、皆さんの脳内では「スキーが速すぎる」という信号が出ていたはずです。 しかし、本質的な原因は「第2コーナーでの切り上げ不足」にあります。
 Cの後半でスキーを切り上げ、身体を谷側に落とし込む「仕上げ」が甘くなると、スキーの走りに身体が置いて行かれて後傾になり山側へ倒れます。これが発射の正体です。
・解決策: スピードが上がった時ほど、意識を「前(前傾)」に、そして「外(外向)」へ。上体が起きてお尻が下がって後傾になった状態から、足首を支点にして、腹筋と脛横の筋力を使って基本ポジション「マイク&ゲッツ!」に戻すことで、スキーは再びあなたの制御下に戻ります。
・どこで?戻すのか?:Y方向重視の場面(第2コーナー)がおすすめです。スキーが横に向いていて身体を小さくできる時がリカバリーのタイミングです。

【Cを完成させるために】
 本日のレッスンで皆さんの滑りには「戦略」が宿ったと思います。 ただコブに翻弄されるのではなく、「どこで横に動き、どこで下に落ち、どこで仕上げるか」という明確なプランを持ってコブにチャレンジする意識が持てたのではないでしょうか?
 皆さんは「ただズラす」だけの世界から、「向きを使い分けてスライドする」という、より高度な次元へと足を踏み入れました。 ターン前半に縦スライドを入れる。これは言葉で言うほど簡単ではありません。しかし、勇気を持ってスキーをフォールラインへ落とし込んだ先に、ズルドンでは決して味わえない「吸い付くような等速感」が待っています。
 コブは、毎日、そして毎時間その姿を変えます。 しかし、今日学んだ「コの字の設計図」と「ベクトルのマネジメント」さえあれば、どんな形状のコブであっても、自分に合った最適な「C」を描き出すことができます。
 技術的な動作の裏にある「重さの流れ」をイメージしてみてください。雪面がもっと柔らかく、コブがもっと友好的に感じられるはずです。次回は、さらに進化した皆さんの「洗練された軌道」を見られることを楽しみにしています!
本日はありがとうございました。

 さて、「エネルギーの変換」という視点でCスライドを練習して、ご自身の滑りの中で「ここで重さが逃げていたな」あるいは「ここで力みすぎていたな」と思い当たる箇所はありますか? その「気づき」こそが、次のレベルへの扉を開く「カギ」になります。
ぜひ、HPへご意見をお寄せください。次回はより一歩踏み込んだコブ理論を用意してお待ちしております!
そして、重さを操る軌道とタイミングを知りたい方のご予約もお待ちしております♪
清水

コブ専門のDirectlineスキースクールの開催会場と予約はこちら

レッスン参加者の声はこちら

▼Cラインを学ぶ!しげさんのコブ攻略シリーズ

しげさんのコブ攻略シリーズの動画視聴はこちら

コブ斜面を専門にしたスキーインストラクターとして25年以上の活動実績。Directlineスキースクール代表として、スキーインストラクターが職業選択の一つになる世界を目指し活動中。

1

Lesson Report

Movie

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


TOP
TOP